葉田甲太 ブログ。

医師 NPOあおぞら代表 5万人の命を守るタンザニア病院建設まで。

タンザニアの首相が訪れ、5万人の命を守る病院が開院しました。

 

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世界の妊産婦死亡は、1990年の約52万3,000人から、改善はみられたが、2013年に約28万9,000人の方が未だに亡くなっている。

https://www.who.int/reproductivehealth/publications/monitoring/maternal-mortality-2013/en/

 

 

その原因は、妊娠する前から患っていた病気(糖尿病、マラリアHIV、肥満など)が、28%、出血多27%、妊娠高血圧症14%、感染症11%、停止分娩やその他の直接的な原因9%
中絶による合併症8%、塞栓症3%となっている。

https://www.thelancet.com/journals/langlo/article/PIIS2214-109X(14)70227-X/fulltext

 

 

そもそも、妊産婦死亡自体が、途上国では自宅分娩の習慣などもあり、全例把握できていない。

 

 

妊産婦死亡の98%は、発展途上国でおこなっている。

 

妊産婦死亡を改善するためには、産前、産中、産後の連続した支援が必要で、児童結婚、貧困、女性の地位向上など、医療以外にも必要なことはたくさんある。

 

 

それでも、基本的な医療さえあれば、大部分のお母さんや赤ちゃんの命は救うことができる。

 

 

 

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新病院を建設予定地を視察する時に、ある男の子に出会った。

 

 

男の子が2歳の時に、妊娠高血圧により痙攣で、お母さんを亡くした。

 

 

近くに、病院がなく、お母さんは産前健診をうけていなかった。

 

痙攣が、おきた時も、近くに病院がなかった。

 

 

タンザニアは、妊産婦死亡率が524人/10万(UNICEF 2017)と日本の100倍近くある。

 

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お母さんがなくなった時、ご遺体をみて、お母さん起きてと、この子はたたいたそうだ。

 

 

2019年11月で4歳になっていて、お母さんは今遠くにいでかけていると祖母が説明をしている。

 

亡くなった方のお母さんも、泣いていた。

 

 

自分の母親や、娘を失う気分はどんなものだろうか。

 

あの時、泣いている人をみて、男の子をみながら、そんなことを思った。

 

 

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なんで行動したのかと言われても

こればっかりは、あんまり科学的じゃない。

結局のところ、泣いている人がいて、涙をとめなかった。救える命を救いたかった。

 

 

 

2年間、必死で活動して、建設費、現地の啓発活動、医療教育支援、医療機材支援を、現地政府、住民、国際NGOワールドビジョン、NPO法人あおぞらが連携して、本当に一体となって、プロジェクトがすすんでいった。

 

 

 

医療機材支援について、クラウドファンディングでは本当にたくさんの方にお世話になった。

 

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(写真提供 国際NGOワールドビジョン様)

 

 

 

色々あったけれど、2020年3月4日、建設した病院をタンザニアの首相が訪問し、一部サービス(マラリアの簡易血液検、栄養不良児のケア -駆虫剤の提供) を開始しています。

 

今後も、Assistant Medical officer、2 enrolled nurses、1 assistance nurse、1 nurse attendantを 配属予定です。

 

徐々に、産前・産後検診・マラリア検査と治療薬・予防接種・五歳未満児の成長モニタリング・ 通常分娩介助・基礎的な新生児ケア・産後ケア・HIV/エイズ母子感染予防・家族計画 カウンセリング・軽い怪我の治療・風邪薬の処方などを開始していく予定です。

 

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(写真提供 国際NGOワールドビジョン)

 

それでも、まだまだ、整備しなきゃいけないものがある。

 

色々あったのにな。

マサイの村にも視察にいった。

会合で、僕が英語のつたないから、みんなにとめられた。

僕が政府は何もしてくれないのですか?と聞いた時に、政府は本気になったという。

ちょっとした言い合いになったこともあった。

住民負担もあって、住民は、葉田は政府の味方かと言われることもあった。

 

クラウドファンディングも大変だったけれど、それと同じぐらいコメントがうれしかった。

 

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NPOって、どうやってつくんだろう、1000万円クラウドファンディングって、どうやるんだろう、本って、どうやって出版するんだっけ、医療教育ってどうすればいいんだろう、どうやって病院がない地域に病院をたてるのだろう、どうすれば、妊産婦の命を救えるのだろう、どうすればNPOって運営するのだろう、どうすれば、現地と一緒にできるだろう、コロナで大変な時に何ができるだろう、

 

ひとつずつ、ひとつずつ、120個ぐらいの扉を、みんなの力で開けてきた。

 

 

120個の扉をあけて、見えたのは、もっと大きなヤマだった。

 

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現地の貧困、医療人材、児童結婚等。

 

一瞬、絶望しそうになった。

 

 

 

人の命を救う、健康を守るってのは、そんな簡単なものじゃない。とやっぱり思い知らされた。

 

 

 

だからこそ、連携する事が大切で、自分がを疑う事が大切で、日々精進するしかない。

しんどいけれど、その先には、まだたくさんの笑顔がきっと待っている。


そして、その笑顔は、僕にいつもとても幸せな気持ちをくれる。

自分のためにも、誰かのためにも、まだまだ走り続けたい。

 

 

 


産科棟と手術棟につながる浄化槽と雨水浸透ます、 胎盤処理施設の建設を行い、近日中に、医療サービスを拡充していく予定です。

 

 

 

昨日のクラウドファンディングの講演会もありがとうございます。産婦人科の先生方、小児科の先生方、ご支援者の方々にお会いできて、本当に緊張したけれど、嬉しかったです。恐縮ですが、今できる事は、できた気がします。色々お見苦しいところもありましたが、ご容赦頂けると幸いです。

 

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ご参加頂けなかった方には、動画でお送りいたします。

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(写真提供国際NGOワールドビジョン様)


 

 

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頑張ってみんなで走った。ついたと思ったら、もっと長い道があった。

休む間なんてなく、また走ります。

また、やっぱり、たくさんの人の笑顔をみたいと思うから。

それより、自分をワクワクさせてくれることは、今のところないから。

また、頑張ろうと思います。

 

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まとめ:高い壁は超えられるものしか、きっと、やってこない。

    一人で超えるのではなく、みんなで超える。

 

「僕たちはヒーローになれなかった。」

 

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向井理さん推薦!


~献身(ボランティア)とは何か
愚直に自分と向き合う医師の現在進行形の物語~

 

 

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映画化以降の8年間の苦悩、悔しさ、涙、仲間の大切さ、出会い、自分の幸せ、収入やキャリア、夢や目標の叶え方、なぜ僕たちは働いているのか?色々なものを詰め込みました。

 

 
僕たちはヒーローになれなかった。

けれど

みんなと一緒になら、目の前の命を救うことができる。



NPO法人あおぞらを通じて、印税をカンボジアの手洗い場建設等に使わせていただきます。

 

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 (初版の印税で一つ目の手洗い場を2020年4月に建設させて頂きました。)

 

 

 


NPO法人あおぞら

npoaozora.org

ホームページ更新いたしました。カンボジアラオスタンザニアで母子の命を守るため、マンスリーサポーター募集中です。

 

 

 

 

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