葉田甲太 ブログ。

医師 NPOあおぞら代表 5万人の命を守るタンザニア病院建設まで。

亡くなった赤ちゃんとお母さんが教えてくれたこと。 2018年10月20日

 

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開院式の後、ワールドビジョンスタッフ、支援者のみなさんと一緒に、カンボジア名物の焼き肉を頂いた。

 

 

 

なぜか分からないけれど、そのレストランで、ギターをひきながら、嶋岡先生と「青空」を音程を外しながら熱唱した。講習会や開院式が一応うまくいって、お互いタカが外れた様だった。ツアーの参加者にはプロのドラマーの方もいて、むちゃくちゃ恥ずかしかった。

 

 

 

よく分からない飲み会の次の朝、午前4時に起きて、2006年に建設したGRAPHIS小学校に向かった。

 

 

 

今回の開院式のツアーに参加して頂いた方からは、「普段の私たちの暮らしとの違いにびっくりして、衝撃を受け人生が変わりました。」とか「諦めかけていた助産師の夢を追ってみようと思います」等の嬉しい感想を頂いた。

 

 

4時間ほどバスを走らせると、午前10時頃にコンポントム州にあるGRAPHIS小学校に到着し、衛生指導を子供たちに行った。

 

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建設した小学校では、今も子供たちが通っていて、日本の支援者の方が楽しそうに綱引き等のアクティビティを通して、笑顔で交流してくれていた。

 

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騒がしい声が小学校に響いていた。

 


2005年4月、大学二年生の時に、渋谷の郵便局で「150万円あれば小学校が建ちます」とのパンフレットを見つけ、人生が良いか悪いかは今となっては、よく分からないけれ

ど、それまでの人生が僕なりには変わっていった。

 

 

カンボジアと出会うまで、僕は普通の人生を歩んできた様に思う。何が普通かは難しいけれど、少なくとも何かで一等賞をとった記憶もないし、


何か特別秀ででいる事もなければ、特殊な経験もしてなかった様に思う。

 

 

 

 

 

2014年、小学校の継続支援を続けていた時に新生児を亡くしたお母さんがいた。また、そんなお母さんとの、出会いから人生が変わっていった。カンボジアに小学校を建てて、その本が映画になり、色々あったけれど、一方では生後22日目に亡くなっている方がいた。

 

 

 

 

4年間、自分なりにガムシャラに行動したけれど、もっとすごい人なら大きなアウトカムをだせた方もしれないし、もっとスマートに行動できたかもしれない。

 


建設した小学校には、たくさんの子供たちが集まってくれていた。

 

 

与那国島で出会ったミクさんを中心に、開院式のツアーの参加者と、小学校の子供たちに手洗い指導を行った。

 

 

手洗い指導の一貫で、小さい子供たちにも必要性を分かってもらえる様な寸劇をまずは行う事になった。

 


子供たちの前で、奮闘するミクさんを見ながら、きっと、良いお医者さんになって、たくさんの患者さんを救ってくれる。医師でなくても、将来きっとたくさんの人を笑顔にしてくれる。

 

 

 

そんな思いで、日本から持ってきた白衣と聴診器を、手洗い指導の時にミクさんに貸した。

 

 

 

 

ミクさんは、「やばいです」と照れていた。

 

 


寸劇では、たくさんの子供たちの、笑い声が聞こえていた。

 

 

 


そんな声を聞きながら、小学校の近くの、生後22日目で亡くなった赤ちゃんのお墓に手を合わせた。

 

 

 

 

 

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22日間の人生は、どうだったでしょうか。

 

 

少しでもお母さんに抱っこされて、幸せだったでしょうか。

 

 

もう少し長く生きたかったでしょうか。

 

 

20才の時に、渋谷の郵便局でパンフレットをみてから、まさかこんな人生になるとは思ってはいませんでした。

 

29才の時に、お母さんに出会いました。

 

 

人を幸せにすることは、とても難しい事です。

 

 

人の幸せは、もちろん人それぞれです。

 


ただ一つだけ確実だった事は、お母さんは、ワンワン泣いていました。

 

 

話をされる時、ずっと泣いていました。

 

 

 


お母さんの涙を減らせるように、救える「命」をすくえる様に

 

 

僕だけの力じゃ、到底無理だけれど、力を合わせて、これからも続けていこうかなと、思います。

 


そんな事をしても、意味ないよと笑う人がいるかもしれないけれど

 

 

どれだけ、小さい行動だったとしても、日々の日常の中でも、目の前の人なら、きっと笑顔に貢献できる事もあるのかもしれません。

 

 

世の中には、いろいろな価値観があって、人それぞれの幸せがあります。

 

 

 

高級料理を食べたら、嬉しいし、きっと幸せな気持ちになれます。

スポーツカーに乗れたら、幸せな気持ちになれるかもしれない。

 

 

 

でも、そういった種類の別の、幸せがある様な気がします。

 

 

医療的な、国際保健の難しい話なんて、すべて置いておいて

 

 

泣いていた人が、笑ってくれた時に

 

 

辛かった人が、笑ってくれた時に

 

 

 

時々だけれど、生きていてよかったなと思う時があります。嬉しくて涙がでそうな瞬間があります。

 

 

 

変な笑顔がとまらなくなる瞬間があります。

 

 


その瞬間は、いつも、自分ができることで、人が笑ってくれた事で、誰かがそばにいた時でした。

 

 

 

もうおじさんになって、経験も知識も増えて、お腹も少しでてきて、色々な幸せも俗物的な幸せも正直増えましたが、でもやっぱり、そういった種類の幸せは、あまり変わりませんでした。

 

 

 

綺麗事だと、中二病だと、イタイ奴だと笑われたって、そんな瞬間は、やっぱり変わりませんでした。

 

 

 

世界なんてものは広大で、国も、地域ですら変える力は僕にはないかもしれません。

 

 

 

それでも、日常の中で、たくさんの思いをこめれば、それをみた人が、何かを感じて行動してくれる事を

 

 

離島で出会った中学生が、もう一度僕に教えてくれました。

 

 

 

そしてそんな大切な気持ちを、もう一度、あなたや、あなたのお母さんが、色々な経験を通して、教えてくれてくれました。

 

 


自分の能力に限界がある事も知っています。自分自身がこんな偉そうな事を言える立派な人間ではない事を、矛盾を抱える存在である事も知っています。

 

 


でも、こんな事を、伝えていこうと思います。

 

こんな文章でも、楽しみにしてくれている人が、一人はいるだろうから。

 

 

 

どこかの学校で、どこかの病室で、どこかの会社で、何かを感じてくれる方が、一人いるかもしれないから。

 

 

その一人が、何かを変えてくれるかもしれないから。

 

 

恥をしのんで、そんな活動を、やっていこうと思います。今は、アフリカの病院建設プロジェクトの話をでています。

 

 

 

大変そうだけれど、色々な人が色々な事をいうけれど、

 

 

生きたくても、生きられなかった人に比べれば、僕の苦労など、足元にも及ばないだろうから。

 

 

 

そして、そんな生き方が、本当は、自分がなにより、幸せな気もするから。

 

 

 


その時まで、やっぱり僕は、笑われても、真剣に生きてみようと思います。

 

 


大切な事を、教えてくれて、どうも、ありがとうございました。

 

 

笑顔を、みんなのチカラでつくれる様に、頑張ってみます。

 

 

どうもありがとう。

 

 

おそらく、50年もしないうちに、そっちにいきます。

 

 

 

いつか会ったら、その時は、どうぞよろしくお願いします。

 

 

 

小さかった頃に医者さんになろうと決めた、お医者さんを目指した大切な気持ちを、思い出させてくれてありがとうございました。

 

 

 

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NPO法人あおぞら

npoaozora.org

 

カンボジア保健センター継続支援、栄養指導、検診活動、タンザニアでの5万人の命を守る新病院プロジェクト、JICAと連携したラオスでの新生児蘇生法講習会等、母子の命を守る活動を広げるためマンスリーサポーター募集中です!

 

「僕たちはヒーローになれなかった。」

 

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向井理主演『僕たちは世界を変えることができない。』から8年後
映画化後、有名人の様にチヤホヤされて一方で
建設したカンボジアを再訪すると、生後22日目の赤ちゃんを亡くして泣いてるお母さんがいた。
 
自分の無力さ、偽善、キャリアや、収入、なぜ僕たちは働いているのか?
本当の幸せ、自分らしい人生と向き合いながら
カンボジアに病院を建設し、世界の果てに医療を届ける活動を広げるまで。

 

 

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最後に、憧れでもあった中村哲先生が亡くなられました。

ただただ、悲しい気持ちで一杯です。

心よりお悔み申し上げます。