赤ちゃんを亡くし、お母さんは泣いていたこと。 2017年3月31日
建設予定のサンブール保健センターは、11の村を、住民7947人(1722世帯)、5歳未満は885人の医療圏カバーしている。
新生児の赤ちゃんを失った家庭があるとの事で、お話を伺いに行かせて頂く事となった。
サンブール保健センターから、そのご家庭までは、少し距離があり、道もせまく、ランドクルーザーでは難しいため、徒歩で行くことになった。
ぬかるんだ道をNPOワールドビジョンのスタッフである松岡さんと歩いた。
やっぱり、人が亡くなった話を聞くと、どこか気持ちが落ち込む。
「日本でも患者さんがなくなると、何とも言えない気持ちになるし、海外でも亡くなった話を聞くと、何とも言えない気持ちになりますね」。と昨日の妊産婦死亡のケースを思い浮かべながら、話しかけた。
松岡さんが思い出した様に
「現地のワールドビジョンカンボジアの代表が言った言葉で、Don’t get used to it 悲しい事に慣れるなという言葉がありました。慣れなくてもいいんじゃないでしょうか。」
「いい言葉ですね。」と短く返答した。
死に慣れるな。悲しい出来事に慣れるな。いつかは慣れるかもしれないけど、僕は未だに慣れない。
そんな事を考えながら、ドロドロの地面を歩きながら、30分ほどすると、生後28日目の赤ちゃんを失ったご家庭に着いた。
それは、ある意味典型的なご家庭でもあった。
収入は不定期で、小作人の仕事をすれば1日2.5ドル~5トイレの収入を得られ、仕事はない時は昆虫を取って、生活しているという。ご自宅には、高床式になっているが、藁をひきつめた簡素なもので、トイレはなく、近所の川で用を足すという。子供たちは学校に通っているが、両親は小学校を中退し読み書きもうまく、できないと言う。
二人の女の子がいるが、危険な伝統的産婆介助で、出産された。亡くなった三人目の、男の子は、生後28日目に感染症で亡くなった。話を伺うと、臍帯炎か肺炎による敗血症で亡くなったものと考えられた。
呼吸が荒くなっている事に気づいていたが、古いヘルスセンターで信用もなく、様子をみている内に、亡くなった。
同じ様な事を書いて申し訳ないけれど、また亡くなった赤ちゃん話をされる時、29歳の両親は、やっぱり泣いていた。
最後、帰るときに、今回の建設プロジェクトに対して、何度も感謝の言葉を頂いた。今度は、新しいヘルスセンターで産み、赤ちゃんの体調が悪い時はちゃんと受診します。と涙ながらに、語ってくれていた。
自分は聖人君子でも何でもない。偽善者と言われればそうかもしれない。ただ、出会って、やっぱり泣いている人がいて、行動さえすれば救える命があって、その涙を止める科学的な方法を知っていて、そのチャンスがあって。そんな原体験がいつも、何かしなくてはと勘違いみたいな使命感を持ってきた。
また、ここに来ますね。と短く、返事をして、別れた。
乳児死亡率(出生1000人あたりの1歳未満死亡数)は都市部では「13」であるのに対して、農村部では「42」と3倍近くの開きがある。
(Cambodia Demographic and Health Survey 2014)
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