葉田甲太 ブログ。

医師 NPOあおぞら代表 5万人の命を守るタンザニア病院建設まで。

泣いていたお母さんは少し笑ってくれたけれど。  2016年6月23日

 

 

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新設の病院建設は残念ながら医療スタッフの継続性の観点から頓挫した。

 

病院建設予定地視察と共に、赤ちゃんを亡くしたお母さんと会うために、一旦ワールドビジョンのスタッフと別れて、通訳のブティさんと合流して、コンポントム州のGRAPHIS小学校があるBENG村を目指した。

 

BENG村は首都であるプノンペンと、世界遺産アンコールワットがあるシェムリアップの概ね中間に位置している。

 

午前5時、ブティさんのTOYOTAの車に乗り込み、バンティミェンチェイ州から南東にすすみ、午前10時ごろに、コンポントム小学校のBENG村に到着した。

 


長崎滞在中に、通訳のブティさん、村長と連絡を取り合いながら、保健ボランティアとヘルスセンターのスタッフと赤ちゃんの急変時の対応、出産後の家庭訪問等について確認を行い、自腹で15万円ほどだして、救急車として使用するツクツクの購入を行っていた。

 

 

もちろん、ツクツクの使用には、維持費がかかるため、貧困層の村人と話し合いを重ね、一回の搬送使用につきを2.5ドルをもらい、それをガソリン代などにあてる事とした。

 

日本で走っている様な救急車を購入すれば、何百万もするが、搬送に使えれば言い訳で、高価な寄付は逆効果に思え、大人が一人横になっても問題ないサイズのツクツクを購入した。

 

 

買ってきたツクツクを、建設した小学校に持っていくと、集まって頂いた村人は歓喜の声を上げていた。その中に、以前出会った赤ちゃんを亡くしたお母さんもいらっしゃった。

 

村人に少しでも愛着、オーナーシップをもってもらうと、妊産婦のお母さん、赤ちゃんを持つお母さんから、ペンキをつけて、ツクツクに手形をつけるというイベントを行った。

このイベントが、予想以上に盛り上がり、2年前に出会った、泣いていたお母さんも、たくさんの村人と笑っていてくれたのが、遠くから見えた。

 

救急車として使うツクツクの前で、保健ボランティアや村人、ヘルスセンター、今回の事例を共有し、次回からの搬送手段、産後の家庭訪問について、話し合し、連携を強化できる様に図った。

 

話し合いが終わり、村人が各々の家に帰っていく中、以前出会ったお母さんが、僕が一人になったタイミングで僕に話しかけてくれた。

 

なんて言ってもらえるだろうと、なんだか心配になった。

 

「遠い日本の国から、来てくれてありがとう。亡くなった、赤ちゃんを誇りに思います。」

 

誇りに思うという発言をさせてしまった事に申し訳なくなった。何度も感謝を伝えてもらい、お母さんは旦那さんと、4歳のお子さんがいる自宅へ笑顔で帰っていった。

 

 

赤ちゃんの命を救うためには、ツクツクを救急車と利用する事は一助になったとしても、それだけでは、問題が完全に解決しない事はこの時、自分でも分かっていた
医療費を捻出できない貧困、水衛生など、それ以外にも、もちろん問題はあった。

 

問題がすべて解決する訳ではないと分かっていたけれど、少しでも、自分のせいで赤ちゃんを亡くしてしまったという、アウトカムでは測れない、お母さんの「後悔」や「涙」を減らして、「笑顔」も増やしたかった。

 

 

自腹で買ったこのツクツクは、2016年~2018年に、この地域で年に約5回ほど、主に母体や赤ちゃんの救急搬送に今でも使用されている。

 

 

泣いていたお母さんを少しだけ、笑顔にできた事。そんな少しの満足感を得ながら、次の日、帰国し、長崎大学熱帯医学講座の修了試験を受けた。

 

 

 

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