葉田甲太 ブログ。

医師 NPOあおぞら代表 5万人の命を守るタンザニア病院建設まで。

たくさんの失敗を積み重ねていつか僕たちは。2016年5月31日

 

 

 

 第二章 たくさんの失敗を積み重ねていつか。2016年5月31日

 

 

 

 

 

 

 

 


目標を定める。情報をトコトン集める。情報を組み合わせて、戦略を立てる。やると宣言して期限を決め逃げられない環境をつくる。やると決めたら、最後までやる。

 

 

医学部受験の五ヶ月前の模試ですべての大学でE判定をとって、自分の足を縄で椅子にくくりつけた。(トイレにいくからすぐ外したけれど)

 

僕たちは世界を変えることができない。」を自費出版する時に、ある編集長から本の出版の価値がないと言われた。その後、何百回も本屋に行き、ひたすらアナログに本をおいてくださいと頭を下げた。

 

 

もうダメだと思う夜に、がむしゃらな行動の先に、大逆転のチャンスが時々だけれど、たしかにあった。

 


授業を通して、世界の赤ちゃんの命は、教育を受けた助産師の下での出産、ワクチン、など基礎的な保健サービスを整備すれば、半分近く救えることを学んだ。

 

 


現実的には、カンボジア僻地に病院を建設し、基礎的な医療サービスを享受できる様に調整し、医療教育を実施すれば、理論上は赤ちゃんの命を救う事ができる

 



でも、「理論」で分かっても、どうやっても、実際にそれを「行動」に起こす事が難しい。

 



手当たり次第に、知り合いに「カンボジアの僻地に病院を建てる方法」を聞いてみるも、全員から全然分からないとの返答があった。そりゃ、そうだ。

 

通訳のブティさんに連絡して、現地の保健省に聞いてもらったりもしたが、「新しいNPOをつくって、それから政府に信頼してもらい建てるから、5年ぐらいはかかるだろう」と、回答をもらった。

 

 

暗礁に乗り上げていた。というか、もう、どうしようもなかった。もはや、通行人100人に「カンボジアの僻地に病院を建てる方法」を聞きたいぐらいだった。

 

起きている間はずっとアンテナを建てて、「赤ちゃんを救う方法」に結びつく情報を探していた。

 

 

そんな2016年5月31日夜に、長崎のアパートで、シャワーを浴びてボーッとテレビを見ていた。普段テレビはアメトーークと野球以外、ほとんど見ないのだけれど、適当にチャンネルをBSにチャンネルを変えた。

 

BS放送にチャンネルを合わせたテレビ画面には、NPOワールドビジョンの広告が流れた。広告といっても、5分程度もある長編だった。

よくできたCMだった。お涙頂戴的な内容で、正直なところ、それほど乗り気ではなかった。

パソコンでネットサーフィンをしながら、申し訳ないけれど、適当にみていた。

CMの内容は、ルワンダの少女が、貧困のため、薪に、水汲みに、家事に時間をとられ、学校にも行けなかった状況から、ワールドビジョンの支援によって、徐々に学校にいける様になり、夢を持っていったストーリーだった。

建設したカンボジアのGRAPHIS小学校にも、遊具の支援、昼食の提供などをして下さったのもあり、NPOワールドビジョンの存在は知っていた。
もしかしたら、この団体と一緒にやる事ができたら、一緒に病院も建設できるかもしれない。

TVのCMを見て、そんな考えが浮かび、すぐに団体のホームページをパソコンで調べた。NPOワールドビジョンのホームページには、特別プロジェクトとして、塩野義製薬としてコラボして、ケニアに病院を建てたプロジェクトが記載されていた。

 

塩野義製薬というビックネームに一瞬ひるんだ。僕は未だ個人でしかない。パソコンの前でうつむきながら、今後の事を考えた。

 

 

自分の目的は何だろうか。病院を建てることだろうか。自分の力ですべて成し遂げる事だろうか。

 

目的は泣いていたお母さんの「涙」を減らし、赤ちゃんの「命」を救う事だった。
その目的のために、誰かのために頭を下げる事は、格好悪い事じゃない様な気もした。

 

もう一度パソコンに向かい、メールを開いた。

 

 

メールの内容がすべてだ。これで返事が返ってこなかったら、もうこのプロジェクトが終わってしまう。

 

 

必ずメールが返ってくる様に、自分が一番リスクをとって、手伝って頂ける人が笑顔になる様に、相手にメリットしかない様な提案をする必要があった。

 

 

自分だけに安全圏にいて、行動せず理想論を言うだけの奴の、言うことなんて、誰も手伝おうだなんて、思わない。

ローリスク、ハイリターンなど、人生など、僕の大した事ない人生経験からいうと、絶対にない。

 

 

カンボジアで赤ちゃんを亡くして、泣いているお母さんがいて、涙を減らして、命を救うために、カンボジアの僻地に病院建設したい。そのために寄付を集めますが、もし集まらなかったら、全額借金をしてでも、自分が払います」
とメールに打った。

 

次の日、授業中にNPOワールドビジョンの谷村さんという才女から、電話がかかってきた。

 


連絡があるか疑心暗鬼でもあったので、嬉しくてホッとした。休み時間にトイレに行き、電話をかけ直した。

 

学生時代に小学校を建設したこと、そこにNPOワールドビジョンが支援してくれていた事、赤ちゃんを亡くして泣いている人がいたこと、病院を建てるだけじゃ命は救われないこと。

谷村さんと、意気投合して、気づくと1時間近く電話をしてしまい、午前中の1コマを結果的にサボってしまうほどだった。

 

電話の後メールにて打ち合わせを重ね、NPOワールドビジョンと共に病院建設を、進める事になった。

 

 

人の命は、簡単に救えないし、簡単に物事がいくほど、世の中は、甘くない。
それでも、覚悟がきまって、目標が決まって、期限がきまれば、あとはもうすすむしかなかった。

 

新生児の「命」をすくうこと、お母さんの「涙」を減らすこと。

 

NPOワールドビジョンの協力のもと、そんな目的のために病院建設がようやくスタートした。

 

 

 

 夢や目標を掲げたところで、いつも嫌になった。自分の能力と、そのキラキラした目標が離れすぎていて嫌になった。



夢を見て、笑われて、ダメになって、落ちぶれて、うまく行きそうになって、やっぱり失敗して、ほら見た事かともう一度笑われて、それでも、僕はもう一度夢を見れるだろうか。


何度失敗しても、それでももう一度、夢を見れるだろうか。

 

だからこそ、低い可能性を、うすっらとした光を、ただ信じた。自分の妄想でも良いから、世界に一人でもいいから、ただただめちゃくちゃ強く信じたかった。

 

 

 

 

 

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【第二章まとめ】


カンボジアGDP成長率は7%と近年急速に発展している。

カンボジアの乳児死亡率は都市部では13/1000人であるのに対して、農村部では42/1000人と3倍近くの開きがある。

・世界でみれば、アフリカ、アジアを中心に5歳未満死亡率は大幅な改善が見られた。

・世界の新生児の推計死亡数については、1990年と2013年を比較すると、3割程度しか減少が認められず、5歳未満死亡率の減少率と比較すると、その改善は緩慢だった。

・基本的な医療サービスがあれば、新生児の死亡を約4割減らすことができる。

 

・結果がでるまで、は5年ぐらいかかるから、それまで上を向きながら信じて行動する。

 

・やる前から考えるのではなく、まずやってみてから、色々考える。

 

・決意するのではなく、逃げられない環境に飛び込む。

 

・何かをはじめる場合は、プライドを捨てて。まずはその道のプロにまず教えを乞う。

 

・失敗から学びアプローチを変えながら、成功するまで何度でも、挑戦する。

 

・たくさんのデメリットがある中で行動する最後の最後の理由は、人生は一度きりだから。

 

 

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